Powered By Blogger

2011年7月15日金曜日

NHKで放送:ワカメ養殖発祥の地

昨日、1pm過ぎのNHK BS1の番組で、碁石海岸にある「ワカメ養殖発祥の地」の顕彰碑が映り、末崎町のワカメ養殖の歴史とその復興にかける泊里地区の漁師さんが紹介されていた。番組の冒頭に、養殖ワカメ復興にかける町の取り組みという予告があり、どうせ県北の事だろうと勝手に想像していたものだから意外であった。
NHK BS1で放送

今回の帰省中に偶然にもこの顕彰碑を見つけ写真を撮っており、わが町の自慢としていつかブログで紹介するつもりだったのでタイミングが宜しい。
碁石海岸の「わかめ養殖の地」顕彰碑

ワカメと言えば三陸ワカメ。東京でも近頃有名である。それもそのはず、海中につき化学肥料・農薬等は一切使えぬ、使う必要がない、プランクトン豊富な三陸の海で育つ、完全無欠な無農薬野菜と言える。塩分を抜いて熱湯に浸すだけですぐ食べられ、風味は新鮮、長期保存が可能と、何かと便利。ヘルシー志向の忙し現代人に受けないわけがない。

養殖の先駆けがとなった人物が、わが町門の浜の漁師、小松藤蔵氏である。実はそのことは、拙者高校を卒業し町を離れるまで知らなかった。ワカメは天然物とばかりと思っていたのである。ちなみに、同氏のご子息が拙者の二年先輩におり、器械体操部員として、顔を赤くしながら鉄棒の大車輪の技に取り組んでいたのを思い出す。
わかめ養殖 碑文

当時、乱獲を防ぐために、ウニ・アワビと同様に、天然ワカメを採取できる解禁日が定められていた。その日は、早朝から漁師が一斉に小舟(カッコ)を駆って目的の磯に向かい、限られた時間で競うように採ったものである。我が家では津波で小舟を失っていたので、母と未明の早朝に家を出て、裏山の峠を越えた人里離れた浜に行ってものである。初夏の未だ冷たい海水に浸かりながら、鎌で刈り採る。制限時間が過ぎたら、刈り採ったワカメを小石の浜辺に敷き詰めて天日干し。十分乾いたら拾い集め、背中に背負い、元来た急な山道を登り運んだものである。採取した天然ワカメは、後日漁協に卸し、僅かばかりの現金収入となった。

田舎を離れ何年かしてから、養殖ワカメや養殖ホタテを地元の直売所で目にするようになった。以前の漁業と言えば、近海のイカ釣り漁や何日も家を空ける遠洋漁業が主体で、大漁・不漁と生活が非常に不安定だった。我々が中学を卒業した当時、高校に進学せずに就職する者が少なくはなかったが、その多くは大工や左官等の職人見習で、漁師になる者は殆どいなかったと思う。

その後普及した養殖業は、従来の漁業と異なり、農業と同じ育てる漁業となり、町の主要産業の一つとなった。このお陰で、漁民の生活が随分安定してきたようである。最近では、末中の生徒達も、体験学習の一貫としてワカメ養殖を行い、修学旅行の際には育てたワカメを新橋や東銀座のショップで体験販売も行うようになった。このように、町全体で養殖ワカメのPRおよび後継者の育成に努めてきたようである。

実は、3.11の数ヶ月前だったか、やはりNHKの放送で末中の後輩諸君のワカメ養殖のことが、首都圏で紹介されていたことがある。この取材の過程で、「ワカメ養殖発祥の地」として報道側も既に認識していたものと思われ、今回の再取材に繋がったのではないだろうか。これまでのPR活動がムダではなかったようである。

末崎で始められたワカメ養殖は、今では三陸沿岸に広く普及した。自由競争の市場。わが町が本家本元だとアグラをかいてはいられないが、「ワカメ養殖発祥の地」と誇るのは末崎町の特権である。今回、津波でどの地域でも等しく大きな被害を受けた訳だが、養殖業を復活させ、新鮮なワカメが市場に出回る日が遠くないことを願っている。

人気ブログランキングへ

0 件のコメント:

コメントを投稿